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報告書

水銀標的の気泡注入性能向上のための機械学習を用いた最適化

粉川 広行; 二川 正敏; 羽賀 勝洋; 都築 峰幸*; 村井 哲郎*

JAEA-Technology 2022-023, 128 Pages, 2022/11

JAEA-Technology-2022-023.pdf:9.0MB

大強度陽子加速器施設(J-PARC)の物質・生命科学実験施設では、ステンレス製の水銀標的容器内で流動する水銀にパルス陽子ビームを繰り返し入射し、核破砕反応により生成する中性子を最先端科学実験に供する。パルス陽子ビーム入射に伴い、水銀中には圧力波が発生し、圧力波の伝播と容器変形の相互干渉に起因するキャビテーション損傷、特に陽子ビーム入射部の損傷が標的容器の寿命を支配する。圧力波及び損傷の低減対策として、ヘリウムの微小気泡を水銀中に注入する方法を開発し、圧力波及び損傷の低減を実証した。所期の1MWの大強度陽子ビーム下における水銀標的容器の耐久性を向上させるには損傷をさらに低減する必要がある。微小気泡による圧力波低減効果の向上には、水銀中での直径が150$$mu$$m以下である気泡の体積含有率を高めることが求められる。気泡生成器から注入した気泡は浮力による上昇や流動過程での合泡などを起こし、水銀内を流動中に気泡の体積含有率は低下する。気泡生成器の設置位置を損傷が激しいビーム入射部に近づければ、ビーム入射部近傍の気泡体積含有率の低下を防ぐことが可能である。しかし、ビーム入射部に近づくほど、気泡生成器の設置空間が狭く流動抵抗が大きくなるため、冷却に十分な水銀流量の確保が困難になることや、水銀流速の低下により生成気泡径が大きくなる等の弊害が生じる。そこで、標的容器のビーム入射部近傍でより小さな気泡を高い密度で分布できるように、標的容器内部における気泡生成器の形状や設置位置、さらに水銀流動案内羽根の形状に関して機械学習による設計の最適化を試みた。気泡分布を考慮した水銀標的構造の設計では、多数の設計変数を考慮する必要があることから、ラテン超方格法に基づき約1000ケースの設計変数について数値解析を実施し、その結果を学習データとしてビーム入射部近傍での気泡分布(サイズや数密度)が最適になる設計を決定した。水銀の流量は標的容器の温度に、気泡生成器の形状は製作性や生成気泡径に影響を及ぼすことから、これらを制約条件とした。その結果、ビーム入射部近傍で半径が150$$mu$$m以下の気泡の密度を約20%増大できる解を見出した。

論文

Cavitation damage prediction for the JSNS mercury target vessel

直江 崇; 粉川 広行; 涌井 隆; 羽賀 勝洋; 勅使河原 誠; 木下 秀孝; 高田 弘; 二川 正敏

Journal of Nuclear Materials, 468, p.313 - 320, 2016/01

BB2014-2665.pdf:3.4MB

 被引用回数:11 パーセンタイル:71.62(Materials Science, Multidisciplinary)

J-PARCの核破砕中性子源(JSNS)水銀ターゲット容器は、陽子線入射励起圧力波により励起されるキャビテーションによる損傷を受ける。キャビテーションによる損傷は、容器の構造健全性を低下させるため現在のところ容器の交換寿命を決める支配因子となっている。圧力波及びキャビテーションによる損傷を低減するためには、水銀中にガスマイクロバブルを注入することが効果的な手法である。JSNSでは、ガスマイクロバブルを注入するためのシステムを2012年10月に設置し、レーザードップラー振動計を用いて容器の振動をモニタリングすることによって水銀中へのバブル注入の効果をした。その結果、振動速度は気泡注入量の増加に伴って減少することを確認した。また長期間の運転では、気泡注入によって平均でバブル注入無しの1/4程度の振動速度を維持した。

論文

Cavitation erosion induced by proton beam bombarding mercury target for high-power spallation neutron sources

二川 正敏; 直江 崇; 粉川 広行; 羽賀 勝洋; 沖田 浩平*

Experimental Thermal and Fluid Science, 57, p.365 - 370, 2014/09

AA2014-0181.pdf:1.48MB

 被引用回数:10 パーセンタイル:46.63(Thermodynamics)

J-PARCの水銀ターゲットでは、陽子線入射時に発生する圧力波が水銀を包含する容器へと伝ぱする際に、水銀と容器の界面には負圧によってキャビテーションが発生する。流動水銀中にマイクロバブルを注入することで、圧力波に励起されるキャビテーションの発生を低減するために、注入する気泡の条件を理論及び実験的に検討した。本報告では、特に、圧力波の伝ぱをミリ秒オーダーのマクロな時間スケールとマイクロ秒オーダーのミクロな時間スケールの現象に分けて検討した。前者は、ターゲット容器の振動と水銀の相互作用が支配的な現象であり、後者は、水銀中の圧力波伝ぱプロセスに不可欠な現象である。その結果、マクロな時間スケールでは、水銀中にキャビテーションを発生させる負圧の振幅が注入した気泡によって減少するため、マイクロバブルの注入がキャビテーションの発生を抑えるのに効果的であることを示した。一方、ミクロな時間スケールでは、注入した気泡は負圧の持続時間を減少させキャビテーション気泡の膨張を抑えることで、キャビテーションの攻撃性を低減させるが、その効果は十分ではなく、現状ではキャビテーション気泡が膨張する可能性があることを示唆した。

論文

Small gas bubble experiment for mitigation of cavitation damage and pressure waves in short-pulse mercury spallation targets

Riemer, B. W.*; Wendel, M. W.*; Felde, D. K.*; Sangrey, R. L.*; Abdou, A.*; West, D. L.*; Shea, T. J.*; 長谷川 勝一; 粉川 広行; 直江 崇; et al.

Journal of Nuclear Materials, 450(1-3), p.192 - 203, 2014/07

 被引用回数:14 パーセンタイル:72.55(Materials Science, Multidisciplinary)

水銀ターゲットにおいて陽子線が入射して励起される圧力波と、それによって発生する容器のキャビテーション損傷に対するマイクロバブル注入の効果を調べるために、水銀ループを製作し、ロスアラモス研究所のWNR施設にて、パルス陽子線入射実験(米国中性子源の2.5MW相当)を行った。実験に先駆けて12種類の気泡発生装置の性能(半径150$$mu$$m以下の気泡半径分布と気泡含有率)を評価し、原子力機構が開発した旋回流型気泡発生装置及びオークリッジ研究所が開発したオリフィス型気泡発生装置を選定した。水銀流動条件、気泡注入条件、陽子線強度を系統的に変化させた19条件でそれぞれ100回の陽子線入射を実施し、陽子線入射に励起されるループの音響振動をレーザードップラー振動計とマイクロホンで計測すると共に、試験片の損傷を評価した。その結果、気泡含有率の増加と共に形成される損傷痕の深さが浅くなり、気泡含有率5$$times$$10$$^{-4}$$では、気泡無し時の約1/3になることを確認した。また、音響振動には損傷痕深さに対応した高周波数成分の減少が観測された。

論文

パルス中性子源水銀ターゲットにおける陽子ビーム励起圧力波による衝撃壊食; ピッティングはモンスターか!

二川 正敏

日本原子力学会誌, 47(8), p.530 - 535, 2005/08

J-PARCや米国SNSでは水銀ターゲットを用いたパルス中性子源実験施設の運転開始に向けた建設が大詰めを迎えている。中性子源として使用される液体水銀は固体金属容器に充填される。大強度の陽子線が液体水銀ターゲット中に入射するため、液体水銀内部では急激な発熱反応に伴う熱膨張により、圧力波が生じる。この圧力波は、液体水銀中を伝播し、水銀を封じ込めている固体金属容器に衝撃荷重を負荷する。圧力波により容器構造材料に負荷される荷重は、容器構造の健全性に影響する。そこには、数ミクロンの小さなピットの観察が端緒となったピッティングというモンスターが立ちはだかった。本報では、これまでに著者が実施してきた陽子線励起圧力波に起因する構造工学的課題に関する研究開発の一端を紹介する。

論文

日本原子力研究所大強度陽子加速器施設開発センター中性子施設開発グループ,ターゲットサブグループ

粉川 広行

実験力学, 5(1), P. 64, 2005/03

日本原子力研究所東海研究所では、大強度陽子加速器施設J-PARCの開発・建設を進めている。中性子施設開発グループは、J-PARC施設の一つである物質・生命科学実験施設の核破砕中性子源の開発をおもに行っている。核破砕中性子源では、加速器で加速されたパルス陽子ビームを、水銀ターゲットに入射し、核破砕反応によって発生した中性子を測定実験に供する。水銀ターゲットに関する主な課題を示す。(1)水銀中に圧力波が発生し、水銀ターゲット容器に負荷を与える。実際に水銀に陽子を入射して圧力波を発生させ、容器の変位速度を、レーザードップラー振動計を用いて計測し、その結果をもとに、応力解析の高精度化を行っている。(2)圧力波の伝播によって、水銀中にキャビテーションが発生して、容器に損傷をもたらす。水銀中で繰返しキャビテーション損傷を与える装置を製作し、キャビテーション損傷のデータを、レーザー顕微鏡を用いて取得し、容器の寿命評価手法を開発している。(3)He気泡注入機構を設置した水銀ループを製作し、キャビテーション損傷に対する微小He気泡の影響を評価し、圧力波、及びキャビテーション損傷の抑制技術を開発する計画である。これらの課題を解決しながら設計を進めている。

論文

電磁式衝撃圧負荷試験装置MIMTM; パルス陽子線入射励起圧力波模擬負荷試験装置

二川 正敏

振動技術, (10), p.22 - 26, 2004/11

電磁式衝撃圧負荷試験装置(MIMTM)は、制御装置で発生し、電力増幅器で増幅された電気信号波形を用いて、衝撃的な電磁力により衝撃圧を負荷できる装置である。本装置により、これまでに核破砕水銀ターゲットの高出力化に向けた重要課題である衝撃壊食(ピッティング)損傷の評価を行い、ターゲット容器の寿命予測に不可欠な損傷発生機構に関する知見の構築を行っている。さらに、本装置の特徴である高精度の圧力制御技術により、液体中の急激な圧力変動に伴って生じるキャビテーション現象の解明,損傷抑制技術の開発、及びキャビテーション・ピーニング等の応用技術開発への展開が期待できる。

論文

液/固体界面の衝撃壊食に及ぼす表面硬化の影響

二川 正敏; 直江 崇*; 粉川 広行; 石倉 修一*; 伊達 秀文*

材料, 53(3), p.283 - 288, 2004/03

大強度のパルス陽子線が水銀ターゲット中に入射するため、液体水銀内部では急激な発熱反応に伴う熱膨張により、圧力波が生じる。圧力波の伝播過程でキャビテーション壊食による損傷が懸念され、固体金属容器の寿命を決定する重要な因子となる。これまでに種々の材料に対してSplit-Hopkinson-Pressure-Bar(SHPB)衝撃原理に基づいた平面ひずみ波入射実験装置を用いて、固体/液体界面に衝撃圧力を負荷する実験を行い、損傷評価基礎実験を行った。これより、マイクロピット群の形成による衝撃壊食損傷の程度が、材料の硬度と明瞭な相関があることを見いだした。そこで、本報では、ターゲット容器内壁に処理可能な各種表面硬化処理により損傷の低減化を試み、その可能性について検討した。

論文

Structural integrity of cross-flow type mercury target

粉川 広行; 石倉 修一*; 羽賀 勝洋; 木下 秀孝; 神永 雅紀; 日野 竜太郎

Proceedings of ICANS-XVI, Volume 3, p.1295 - 1304, 2003/07

水銀ターゲットでは、パルス陽子ビームが水銀ターゲットに入射する際、水銀の急激な熱膨張によって圧力波が発生,伝ぱする。そのため、SUS316L製の水銀ターゲット容器には、過大な動的応力が発生し、ターゲット容器の構造健全性に影響を及ぼす可能性がある。そこで、水銀ターゲット容器、特にビーム窓の構造健全性を評価するために、1MWパルス陽子ビーム入射条件下での動的応力挙動を有限要素法によって解析した。半円筒状、及び平板状ビーム窓を持つ2種類のターゲット容器を解析モデルに用い、両者の結果を比較した結果、圧力波によってビーム窓で発生する動的応力が2次応力として取り扱うことが可能であり、平板状ビーム窓を持つターゲット容器が半円筒状ビーム窓のターゲット容器よりも構造的な観点から有利であることを明らかにした。併せて、セイフティーハルの構造強度評価を行い、健全性が確保させることを明らかにした。

論文

R&D on mercury target pitting issue

菊地 賢司; 粉川 広行; 二川 正敏; 石倉 修一*; 神永 雅紀; 日野 竜太郎

Journal of Nuclear Materials, 318(1-3), p.84 - 91, 2003/05

 被引用回数:16 パーセンタイル:71.11(Materials Science, Multidisciplinary)

水銀ターゲットの開発では、圧力波の発生に関連して生じるピッチングが技術課題となっている。ピッチングはSHPBによるオフ・ビーム実験で見つかり、LANSCE,WNRオン・ビーム試験で確認された。ターゲット設計に生かすため、水銀中に生じる圧力を80MPaから減少させ、生じるピッチングの下限界値を見極める一連の試験を実施した。その結果、20MPa以下では実質的なピッチングによる損傷は明らかに限定された結果を得た。ピッチングによる形態は2つあり、小さな穴の生成と広範なへこみであった。小さな穴が生成される場合には質量の欠損が見られるが、へこみではそれが無いと観察された。

論文

第5回核破砕材料技術国際ワークショップ

菊地 賢司

日本原子力学会誌, 44(8), p.622 - 623, 2002/08

本ワークショップは、日本,米国,ヨーロッパで同時に建設あるいは計画している入射陽子エネルギーがMW級の大強度核破砕中性子源の建設を、材料技術の観点から推進検討評価しており、そのR&Dの成果をいち早く、実際の開発にフィードバックすることを狙いの1つにしている。主な話題は、核破砕ターゲットステーションの開発と現状,ADSに関連した研究開発の現状及び材料技術課題,現存する核破砕中性子源からの報告,圧力波によるキャビテーション・ピッテング注),高エネルギー陽子による照射損傷と生成ガスの影響,核計算では、中性子計算と線量評価,鉛ビスマス,水銀中の材料腐食,イオン照射実験である。

論文

衝撃荷重を受ける液体と構造体の連成挙動

粉川 広行; 石倉 修一*; 二川 正敏; 日野 竜太郎

実験力学, 2(2), p.122 - 127, 2002/06

MWクラスの中性子散乱施設用水銀ターゲットでは、大強度のパルス陽子ビームが水銀に入射することにより、水銀は急激に発熱して水銀中に圧力波が発生する。圧力波がターゲット容器壁(構造体)に到達すると容器壁に大きな負荷を及ぼすとともに、構造体の変形と液体水銀の連成挙動により水銀が膨張してターゲットビーム窓の近くで負圧(引張)が発生することが解析的に示されている。負圧の発生によりキャビテーション気泡が生じ、気泡崩壊の際のマイクロジェットによりターゲットビーム窓は損傷を受ける可能性がある。そこで、衝撃荷重下での構造体と液体の変形による負圧の発生現象を把握するために、円筒容器に水を満たして衝撃実験を行い、衝撃荷重下での構造体と液体の連成挙動を調べた。試験は、円筒容器の底に模擬ビーム窓を設置し、容器上部から直接水に衝撃を与えて水中に圧力波を発生させた。その際、模擬ビーム窓の厚さ及び衝撃速度を変化させて負圧発生の挙動を調べた。その結果、模擬ビーム窓が薄く、衝撃速度が速いほど、模擬ビーム窓の変形の慣性効果が大きくなるために、模擬ビーム窓近傍で負圧が発生しやすいことを明らかにした。並行して、有限要素法による解析を行い、衝撃荷重下での液体と構造体の連成挙動のモデルを検証した。

報告書

中性子散乱施設用液体金属ターゲットの構造評価,3; パルス状陽子ビーム入射による偏平ターゲット容器の構造検討

石倉 修一*; 粉川 広行; 神永 雅紀; 日野 竜太郎

JAERI-Tech 2000-069, 32 Pages, 2000/12

JAERI-Tech-2000-069.pdf:2.16MB

MW規模の中性子散乱施設の核破砕中性子源となる液体金属(水銀)ターゲットの構造健全性を評価するために、5MWのパルス状陽子ビームが偏平形状ターゲット容器に入射するときの動的応力解析を行った。解析では、クロスフロー型ターゲットを簡素化した半円筒形状のウィンドウ部を有する偏平ターゲットを、衝撃解析コードLS-DYNAの解析モデルとして用いた。動的応力の原因となる圧力波は、ビームエネルギーが1.5GeV,3GeV,6GeVについて、矩形断面内の出力分布が一様な条件で得られた体積発熱計算結果を用いてLS-DYNAにより評価した。その結果、1.5GeV,5MWでビーム周波数が50Hzの場合に、SUS316Lのような一般のオーステナイトステンレス鋼の許容応力を大きく越える最大応力636MPaが発生することが明らかとなった。現在の陽子ビーム条件である3GeV,25Hzの場合には、降伏応力の高いフェライト系材料のF82Hを用いることにより2MWまでの陽子ビームに対応できる見通しを得た。このときの陽子ビームのパルス強度は、4MW,50Hzの陽子ビームのパルス強度に等しい。

報告書

中性子散乱施設用液体金属ターゲットの構造評価,2; ターゲット容器の動的応力解析

石倉 修一*; 粉川 広行; 勅使河原 誠; 菊地 賢司; 二川 正敏; 神永 雅紀; 日野 竜太郎

JAERI-Tech 2000-008, p.80 - 0, 2000/02

JAERI-Tech-2000-008.pdf:3.19MB

中性子散乱施設用液体金属ターゲットの開発における工学的課題を明らかにするために、加速器から5MWのパルス状陽子ビームが液体金属ターゲットに入射するときの動的応力のパラメータ解析を、NMTC/JAERIによる核破砕発熱計算結果をもとに、陽解法による衝撃解析コードABAQUS/Explicitを用いて行った。対象としたターゲット構造は半球殻先端を有する円筒形状ターゲットであり、ビーム窓単体の板厚方向温度分布による熱応力と応力波の挙動、及び水銀中の圧力波に対するターゲット容器の動的挙動を検討した。その結果、水銀中の圧力波によりターゲット容器に発生する応力は水銀の熱膨張圧力が直接ターゲットウィンドウに作用する応力で最大170MPa、水銀の熱膨張圧力が半径方向の応力波伝搬によりターゲット容器銅部に生じる応力で最大130MPaになることがわかった。これらの結果から、構造設計の最適化を進めれば、ターゲット容器の候補材料であるSS316の設計許容応力が300$$^{circ}C$$で120MPa(暫定値)程度であるという条件のもとに、強度設計が可能になる見通しを得た。

論文

蒸気爆発進展過程における膜沸騰の崩壊挙動に関する研究

八木 理公; 阿部 豊*; 安達 公道*; 杉本 純; 山野 憲洋

日本機械学会論文集,B, 65(636), p.245 - 251, 1999/08

蒸気爆発素過程における粗混合状態を模擬した鋼球表面上に形成させた膜沸騰に圧力波を加えることで膜沸騰崩壊挙動を観察した。結果として、炭素鋼及びステンレス鋼ともに圧力波が通過した直後、鋼球表面温度の降下が測定された。熱伝導計算により得られた熱流束の値より評価された蒸気膜厚は、温度降下時において減少した。これらの結果は何らかの形態で蒸気膜が不安定となり蒸気膜崩壊を引き起こした可能性を示唆するものである。また、圧力波が通過した直後の鋼球表面温度は温度降下の度合いに応じて、膜沸騰が崩壊しなかった実験結果、膜沸騰が崩壊した実験結果、膜沸騰が崩壊した後再発生した実験結果に分類できることを確認した。これらの結果から、本実験条件の範囲においては膜沸騰を崩壊させるのに必要となる圧力が鋼球の初期温度に強く依存することを確認した。

報告書

中性子散乱施設用液体金属ターゲットの構造評価,第1報; 陽子ビームパルス熱入力による応力波の予備検討

石倉 修一*; 菊地 賢司; 二川 正敏; 日野 竜太郎

JAERI-Tech 97-037, 36 Pages, 1997/08

JAERI-Tech-97-037.pdf:0.92MB

現在計画中の大強度陽子加速器の液体金属ターゲットを対象として、先行しているESS(1.33GeV/5MW)の液体ターゲットの検討例を参考にして、陽子ビームパルス入射時の入熱に起因する圧力波・応力波の挙動と、構造成立の見通しの可否について構造予備検討を行った結果、以下のことが分かった。(1)ターゲット容器に発生する応力は、代表的部位として2箇所を挙げると、ウインドウ部が容器直径に依存し400MPa~1000MPa程度の応力値であり、容器円筒部が同様に200MPa~400MPa程度の応力値である。(2)液体金属ターゲットの設計見通しとしては容器候補材料の1つであるHT-9の設計許容応力が約200MPaであり、構造設計の最適化により成立の見通しはあると判断できる。又、近々実施予定のBNLでの実験模擬解析を実施し、試験計画立案に反映した。今後は、液体金属のより適切な物理モデルの採用と、他の機械荷重・熱過渡荷重を考慮したより詳細な検討を進める。

報告書

低爆速火薬による円筒容器の耐衝撃応答

丹沢 貞光; 藤城 俊夫; 吉江 伸二*

JAERI-M 90-159, 80 Pages, 1990/09

JAERI-M-90-159.pdf:1.75MB

NSRRにおいて使用するカプセルと同一スケールの試験体を製作し、低爆速火薬により衝撃的な圧力を発生させ、燃料破損時の挙動を模擬した実験を実施した。これにより、カプセルの衝撃応答挙動を把握する上での基礎的な知見を得た。主な成果は以下のとおりである。(1)現状の設計によるカプセル試験体において、反射波、スラグ・インパクトを含む圧力波伝播挙動が明確となった。(2)水塊はカバーガスと爆源の燃焼ガスによりバウンディング効果があり、爆源に二次圧力波が発生することがわかった。(3)水塊は最大速度を有する速度履歴を持ち、速度履歴はカバーガス高さと密接な関係を持つ。カバーガス高さによってスラグインパクトによる容器首下部変形の程度が異なる。(4)カプセル試験体の外側に設置した外部容器と、円環部の流体の存在によって、カプセルの変形が軽減される傾向を把握した。

報告書

無液面及び有液面蒸気発生器の大リーク・ナトリウム-水反応解析(II); 大リーク・ナトリウム-水反応解析(第16報)

田辺 裕美*; 鈴木 道博*; 橋本 博*

PNC TN9410 88-068, 114 Pages, 1988/06

PNC-TN9410-88-068.pdf:7.15MB

大型高速増殖炉の蒸気発生器(以下SG)に、カバーガス空間を設置した場合と設置しない場合との、大リーク・ナトリウム-水反応時の挙動の比較を行った。今年は、特にSG上部に圧力開放系配管を設置した場合の初期スパイク圧及び準定常圧計算を行った。解析にはSWACSコードを使用した。解析結果から次のことが判った。圧力解放系として、SG上部及び下部プレナムに16Bの配管をそれぞれ設置するよりも、SG上部プレナムに16B2本、または24B1本の配管を設置する方が、初期スパイク圧低減効果が大きく、準定常圧力評価も発生水素ガスの排出効果が大きい。ミドルレグ配管短縮については、主循環ポンプ液面と反応点が近づくことから、圧力波減衰効果が大きい。

報告書

NSRRカプセル強度確認試験における評価方法の検討

山崎 利

JAERI-M 85-016, 47 Pages, 1985/03

JAERI-M-85-016.pdf:1.24MB

本資料は火薬類を用いて行うNSRRカプセル強度確認試験の評価法法についてまとめたものである。内容は現行の評価方法に各検討項目を加え、改善した評価方法を提案するものである。

口頭

Development of the techniques to mitigate the cavitation damages in the J-PARC mercury target

羽賀 勝洋; 粉川 広行; 直江 崇; 涌井 隆; 二川 正敏; 高田 弘

no journal, , 

J-PARC核破砕中性子源の水銀ターゲットでは1MWの大強度陽子ビームの入射により、水銀中に強い圧力波が発生し、これがターゲット容器にキャビテーション損傷を与えることで容器の寿命が著しく低下するため、キャビテーション損傷をいかに低減するかが重大な課題であった。この課題を解決するため、流動する水銀中に直径100$$mu$$m以下のマイクロバブル(気泡)を注入し、損傷を抑制する技術を開発した。気泡生成器を新たに開発してターゲット容器に設置し、2012年10月から気泡注入運転を開始した。レーザードップラー振動計を用いて圧力波で誘起されるターゲット容器の振動を計測し、気泡のない場合に比べて振動速度が1/3に低減されることを確認した。更に高出力化への対応として、早い水銀流れによるキャビテーション損傷の抑制に着目し、ターゲット容器へ陽子ビームが入射する壁面であるビーム窓部に内壁を追加することで幅2mmの狭隘流路を形成する二重壁構造を採用した。解析の結果、ターゲット容器内の水銀流速は1.2m/s程度であるのに対し、狭隘流路内では4m/sの速い流速が得られることが分かり、損傷抑制の効果を期待できる。

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